【トラウマ(trauma)】
とらうま
生命や自分自身の存在に強い衝撃をもたらす出来事によって受けた心的外傷のこと。ギリシャ語で傷を意味する言葉が語源です。原因となる出来事には、自然災害、戦争やテロといった社会的な不安、事故や性的被害、虐待といった危機的体験、家族の死といった喪失体験などがあります。精神的な後遺症として、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する場合があります。記憶が繰り返しよみがえる(フラッシュバック)などの症状を引き起こす障害で、出来事を直接体験した人だけでなく、目撃した人なども発症する場合があります。トラウマが生じた後、社会的サポートが足りなかったり、生活のストレスが大きかった人はPTSDを発症しやすいことがわかっています。2025年時点では、特徴的な技法を用いて、トラウマとなる出来事の記憶やその意味に焦点を当てていく心理療法と、薬物療法の両方が、PTSDの治療に有効であることが示されており、それらを併用した治療も行なわれています。ただしこれらの治療には、当事者の判断による治療の中止などの課題もあり、有効性や安全性を追求したよりよい治療法の研究・開発が続けられています。PTSDを生じさせないような予防や直後のケア、そして、発症した場合でも当事者が孤立せず適切な対処や治療の機会が確保できる仕組みが求められています。
参考サイト
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
PTSD(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
心のケア(文部科学省)
事例