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出動要請から搬送、病院到着までが「日本で最も早く」、全国でも高い救命率を誇る福岡県。“どんな命も救いたい”という共通の思いを持ち、救急を受け入れる仕組みをどのように実現しているのでしょうか。
県内随一の繁華街・天神に位置し、地域の三次救急の役割を担う福岡総合病院「救命救急センター」の救急医・則尾弘文センター長に、その裏側を聞きました。
119番の向こう側にいる救急隊と病院、それぞれの役割とは?
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio04.jpg)
則尾先生
福岡市には32の救急隊があり、救急隊員は274名います。そのうち救急救命士の資格を持っている人は146名います。(2022年4月1日時点)
![2021年中の救急出動件数は78,424件 10年前と比較して約14,000件増加](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/graph.jpg)
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio04.jpg)
則尾先生
![福岡市の救急のしくみについて話を伺った福岡総合病院救命救急センター長・集中治療部主任部長の則尾弘文先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/01.jpg)
福岡総合病院救命救急センター長・集中治療部主任部長の則尾弘文先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio02.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio04.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio03.jpg)
則尾先生
![福岡市の救急車が現場に到着する時間約8.2分。通報から病院到着までの時間約33分。心肺停止した患者の救命率80%。](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/mitewakaru.jpg)
![救急隊から通報者への口頭指導=プレアライバルコール](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/mitewaka01.png)
![救急隊と医師の密な連携で確実な応急処置!=救急隊ワークステーション](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/mitewaka02.png)
![救急隊員と医師で救急搬送事例を共有し、救急活動に活かす=事後検証委員会](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/mitewaka03.png)
![処置後のスムーズな入退院=院内多職種の連携](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/mitewaka04.png)
全国トップクラスの速さ・救命率の秘密は
救急にかかわるすべての機関が一致団結する連携にアリ!
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio03.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio01.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio03.jpg)
則尾先生
また、当院も含む市内39の救急告示病院(救急隊が搬送する患者さんを受け入れる病院のこと)が加盟する「福岡市救急病院協会」の存在も大きいといえます。この39の病院で救急搬送の約88%を受け入れています。
![事後検証委員会は19年目。事例における長年の蓄積が救命に活かされる](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/03.jpg)
19年続く事後検証委員会。
事例における長年の蓄積が救命に活かされる
![プレアライバルコールで現場到着時の遅延苦情が少なくなり、滞在時間の短縮にもつながった](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/10.jpg)
プレアライバルコールで現場到着時の遅延苦情が少なくなり、滞在時間の短縮にもつながった
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio02.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio04.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio01.jpg)
則尾先生
![ワークステーションの一例。院内の心臓カテーテル室の見学と循環器内科医師からの講義の様子](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/05.jpg)
ワークステーションの一例。院内の心臓カテーテル室の見学と循環器内科医師からの講義の様子
![救急隊の訓練の様子。医師によるフィードバックを念入りに行なう](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/04.jpg)
救急隊の訓練の様子。
隊員間および医師によるフィードバックを念入りに行なう
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio03.jpg)
則尾先生
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio02.jpg)
則尾先生
もう一つ、患者さんが病棟に移る際に大切な役割を果たすところがあるんです。
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio02.jpg)
則尾先生
スムーズな
救急受け入れに
不可欠な存在
姫野さん/池田さん
「ベッドコントロールセンター」の仕事
スムーズな
救急受け入れに
不可欠な存在
![姫野さん/池田さん](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/kakomi1.png)
搬送されてくる患者さんをいつでも、誰でも受け入れられる状況をつくるために重要なのが、入院のためのベッド数をコントロールする「病床管理」。福岡総合病院では、もともと看護部で行なっていた役割を引き継き、2016年にセンターが立ち上がりました。
1日は、午前中の病棟回りからはじまります。各科の病床状況を確認し、電話で病院内外からの問い合わせに応じます。ほかの病院から入院相談があった場合は、MSW(医療ソーシャルワーカー)などが在籍する「地域医療連携室」とともに調整を行なっています。
目指すのは、「入院期間をできるだけ短くコントロールすること」。シビアにも聞こえますが、適切な転院・退院によって空床数を管理することは、救急患者さんを常時受け入れられる体制づくりに直結します。
「病床の数や状況はPCで一括管理していますが、一秒単位で変わります。患者さんの情報は医師やMSWなどが参加する『病床委員会』で共有。毎朝、救命救急センターへ『今日は◯床確保してあります』とお伝えするのが日課です」(池田さん)
重要なのは、やはり病院内での連携。各病棟で病床管理を行なう病院が多いなか、福岡総合病院は完全に独立した部署として一括して病院全体の管理を行ないます。
「実際に病棟や患者さんの状況を把握している看護部との協力、相談が絶対です。病院職員全員の救急患者さんを積極的に受け入れていく気持ちと、日頃からの丁寧なコミュニケーションがあってこそ、円滑な病床管理が可能になります」(姫野さん)
命を救ったその後。患者さんが地域で安心して暮らすためには
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio03.jpg)
則尾先生
受け入れの際は、どのような症状でも、さまざまな社会背景のある患者さんでも、救命が最優先です。しかし、スムーズな転院や入退院のために、身元がわからなかったりする患者さんの場合は、すぐにMSWに情報を共有し、運ばれてきた段階から介入します。
毎週水曜日には救急患者の症例カンファレンスを行ない、医師、看護師、理学療法士、薬剤師とで患者さんの治療、転院や退院に向けた計画についても話し合います。
初療から救急患者さんの「退院後に寄り添う」
MSW楠田梨奈さん
MSW(医療ソーシャルワーカー)の役割
初療から救急患者さんの「退院後に寄り添う」
![MSW楠田梨奈さん](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/kakomi2.png)
救急救命ならではの大変さを教えてくれたのは、救命救急センターを担当するMSW(医療ソーシャルワーカー)の楠田梨奈さん。「急なことだとご本人もご家族も気が動転されています。私たちMSWは、ひとりで悩まないように不安に寄り添いながら、患者さんが家や地域に戻るまでサポートします」。
患者さんが不安を感じるのは、無事に治って退院できるのか、医療費のこと、仕事や元の生活に戻れるのかといった悩み。身元がわからない人やホームレスの人も関係なく、救命第一で受け入れるからこそ、入院した後にはさまざまな課題が出てきます。
「外来には常にMSWが1名常駐しています。身元不明だけでなく、自殺未遂、精神疾患など、早期の介入が必要な患者さんは、救急で運ばれてきた時にセンターから情報が共有され、すぐに介入が始まります。MSWの仕事は『この人は◯◯さんでどこでどのような生活をしていたか』を調べることからスタートします。具体的なサポートとしては、無料低額診療事業や済生会独自の生活困窮者支援事業なでしこプランの検討も含め、行政やかかりつけの病院と連携して、介護保険や生活保護などの手続きを進めます」。
この20年ほどの間に病院内のMSWの人数は増え、退院支援もより手厚く改革してきたそう。「患者さんは医療以外にも複合的な問題を抱えていることも多く、そこをクリアしないと転院や退院に進めません。社会福祉の専門職が関わる意義は、医療面はもちろん、心理、社会などさまざまな面から患者さんの立場に寄り添ったサポートができるところにあると思います」。
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio04.jpg)
則尾先生
※「救命救急プロジェクト」は2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により休止。オンラインで動画セミナーを開催
最後に、則尾先生の救急医療への考えをお聞かせください。
![則尾先生](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/norio04.jpg)
則尾先生
![福岡総合病院救命救急センターのチームの皆さん。病院屋上のヘリポートにて撮影](/wp-content/themes/sinc/images/82_fukuoka/08.jpg)
福岡総合病院救命救急センターのチームの皆さん。病院屋上のヘリポートにて撮影
則尾先生