【アムステルダム条約】
あむすてるだむじょうやく
ヨーロッパの27カ国が加盟し、経済的・政治的な協力関係を結ぶEU(欧州連合)には、全加盟国が合意して締結した条約があります。 EUを創設した 1993年に発効された「欧州連合条約(通称マーストリヒト条約)」。この条約は、数年の期間を置きながら改正されており、1999年に発効されたのがオランダの首都・アムステルダムで調印されたアムステルダム条約です。 性別、人種、民族、宗教、政治的信条、身体的障害、年齢などによるあらゆる差別をなくすために、加盟国で統一したガイドラインの採用を可能としたほか、各国の雇用政策とガイドラインの実施状況をEU理事会が調査することを定めました。また、2001年6月までに加盟国に社会的排除をなくすための行動計画( National Action Plan on Social Inclusion )を提出することを求め、条約を実行あるものとしました。条約では、加盟国の格差のない発展とそれを実現するための雇用政策をとることを明言。具体的に136条・137条では「高水準の雇用の継続と社会的排除の撲滅のための人的資源の開発」、「労働市場から排除された人々を労働市場へ統合する」ことが目標として掲げられています。条約発効の翌年2000年には、人種や民族差別に関して、雇用や職業だけでなく、一般の社会生活の中でも差別を禁止する「人種・民族指令案」、さらに年齢や障害などによる雇用や職業に関する一切の差別の原則禁止を加盟国に求める「一般雇用機会均等指令」を相次いで採択。インクルーシブ社会の実現へと歩みを進める大きな転機となりました。
事例