【障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)】

しょうがいしゃけんりじょうやく

障害者の人権と自由を守るため、各国がすべきことを定めた条約。障害を理由とした差別の禁止と合理的配慮を求めて2006年に国連総会で採択され、日本は2014年に140カ国目の締結国となりました。条約をつくるための話し合いには、「“Nothing About Us Without Us”(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」という当事者の間で使われているスローガンのもと、障害者団体も参加しました。国連本部では、毎年、締結国による会議が行なわれるほか、各国の取り組み状況を国連の委員会が定期的に審査し、必要な勧告を出すことが定められており、2022年には日本に対する初めての審査が行なわれました。そのなかで、緊急に措置を取るべきとして強調された分野のひとつがインクルーシブ教育。「すべての障害児への普通学校の通学を保障することなどが必要である」と指摘されました。インクルーシブ社会の土壌を育てる機関といえる教育の場でも、条約を遵守するためにさらなる改革や整備が必要となっています。労働および雇用についても、「同じ価値の労働に、同じ価値の報酬を得られること」を前提に、福祉作業所などに限らない開かれた労働市場への移行を迅速に進めることなどが勧告されました。インクルーシブ就労については、一般就労と福祉的就労のアプローチに分断があるため、より連携を深め、障害者が必要な支援を受けながら働き、十分な収入を得るしくみをつくる重要性などが障害者団体から指摘されています。