子どもたちにSDGsを親しむきっかけを!
2021.09.21

保育を通して地域全体でSDGsに向き合う

神奈川 済生会わかくさ保育園
Let’s SINC
子どもたちがSDGsに親しむため体験型の保育を地域とともに実践する

未来を担う子どもたちに知ってもらいたい

現在、貧困や紛争、環境破壊、格差社会など、地球規模でさまざまな問題が起きています。
そこで、この先も持続可能なよりよい世界を目指して、「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられるまちづくりを」といった2030年までに達成すべき17の国際目標(SDGs)が具体的に定められました。
大きく捉えれば、SDGsは、地球上のすべての人を幸せにするための目標。その考え方は“誰一人取り残さない”ソーシャルインクルージョンの考え方とも重なります。
これは、大人はもちろん、未来を担う子どもたちも一緒に考えていかなければならないこと。
ここでは、子どもの興味・関心を揺さぶり、SDGsに親しむきっかけ作りに取り組む神奈川県済生会・わかくさ保育園を紹介します。

保育そのものがSDGsとつながっている

わかくさ保育園は「自然環境の中でのびのびと遊ぶ」「子ども一人ひとりの心と丁寧に向き合う」「異年齢のふれあいをはじめ、世代間・地域交流などさまざまな人と関わる」「食育や防災を積極的に進める」という4つの保育方針のもと、運営しています。

「日ごろから、障がいのある人との交流や絵本の読み聞かせなどを通して、未来のために今できることについて子どもたちと一緒に考える取り組みを企画しています。子どもは、“楽しい”“面白い”から、“好きになる”“興味を持つ”ので、子どもたちが自然に興味を持ってくれるように意識をしています」

この4つの保育方針はすべてSDGsともつながっていると園長の赤間久美子先生は話します。

「SDGsの考え方の意識づけが将来につながっています」と話す園長の赤間久美子先生

まずは経験することが大切!

SDGsについて子どもたちに知ってもらうきっかけをつくろうと、わかくさ保育園では、「SDGsに親しむ」をテーマに『虹のおまつり』を2020年11月に開催。砂場でのSDGsのロゴ探しやゴミの分別ゲーム、ライブペイントなど、SDGsに親しめるゲームやワークショップを職員一同で考えていったと赤間先生は話します。

「当園の取り組みはすべてSDGsにつながっていることでしたが、イベントを企画した当時はSDGsという言葉は浸透していませんでした。コロナ禍で世界中が危機的な状況だからこそ、あらためてSDGsの意義や価値を一人でも多くの人に認識してもらうにはとてもよいタイミングだと考えました」

そこで、毎年の恒例行事だった『わかくさまつり』を『虹のおまつり』に名称を変更。コロナ禍の開催でも明るいイメージとなるよう『虹』という言葉に喜びと希望の願いを込めました。

園内行事は「保育園でできること」を地域へ発信できるチャンス

地域も巻き込んでSDGsに親しむ

イベントは地域の人にも気軽に参加してもらえるよう、ポスターやホームページ、口コミなどで宣伝。
当日は在園児家族、地域の人などを含め約250人が来園し、大盛況でした。
イベントの目玉は、SDGsの17番目の目標「パートナーシップで目標を達成しよう」を意識して考えた「ハッピーレターコーナー」。参加者全員に1枚ずつハガキを渡し、金沢区内の郵便局の協力を得て、園内に作った特設ポストに投函してもらいます。

「コロナ禍の外出自粛などで思うように人と会えない日々が続く中、オンライン等が普及された時代だからこそ、あえてハガキというアナログな手段でつながりを感じてもらいたいと考えました」と語る赤間先生。

ハガキを送る相手は、家族や祖父母など人によってさまざま。手紙の中には、保護者の方から職員宛てに「姉妹で通わせてもらって本当に感謝している」といううれしいメッセージもあったのだそう。

郵便局と地域とのつながりを持ちたいという考えが一致し、郵便局の協力を得ることができた

園の柵を越え、地域に開かれた保育園へ

現在、わかくさ保育園では、“わかくさデザインプロジェクト”を起ち上げ、保育園の取り組みを地域へ発信することを目指し、手づくりの冊子を作成しています。
この冊子は、園の取り組みや大切にしていること、これから目指すビジョンなどを掲載するもので、完成後は、在園児家族や地域の人に配布する予定です。

「この冊子を子どもたちが大人になって読んだときに、子どもの頃に取り組んだことを思い出すことで、その子の力になれるのではと考えました」

未来を担う子どもたちが主体となって、世界の問題について考えていくために、多くのことを経験して考えるということを楽しみながら取り組みたいと話す赤間先生。わかくさ保育園は、これからも子どもたちや地域の人たちと一緒に素敵な虹を心に描きながら、明るく歩み続けます。

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