約7000人が訪れた小樽のウエルネスなイベントに密着!

小樽くらしたい共生フェス2024
「誰もが共に学び、健康にすごせる“まち”を創造する」

北海道 北海道済生会
Let’s SINC
北海道小樽市の事例をもとに、ソーシャルインクルージョンなまちづくりを考える

北海道済生会が「小樽くらしたい共生フェス2024」を開催

2024年9月8日、北海道小樽市の大型商業施設・ウイングベイ小樽で、「小樽くらしたい共生フェス2024」が開催され、地元の住民をはじめ市内外から約7000人が参加しました。北海道済生会は、2020年に「ウエルネスタウン構想」を発表。高齢化や人口減などの地域の課題を抱えていた小樽市で、済生会をはじめとした医療福祉機関、行政、企業などが力を合わせ、多世代が健康で快適に暮らせるまちづくりに取り組んできました。

その一環として開催されたこのイベントは、年齢や性別、障害の有無などを問わずに誰もが暮らしたい“まちづくり”について考えることを目的に、小樽市、小樽市教育委員会、小樽市社会福祉協議会、小樽観光協会、株式会社小樽ベイシティ開発の後援を受け、北海道済生会が主催しました。

メインイベントまでの1週間は「ウエルネスウィーク」と題し、北海道済生会の医療や福祉活動を通じたまちづくりを紹介するパネル展示などを実施。前日は「前夜祭」として「すこやか視察ツアー」や「未来共創ドラフト会議」などさまざまな催しが行なわれ、当日は北海道外からも北海道済生会のウエルネスタウン構想に共感する企業、団体、学生等も多く来場しました。

前夜祭! “まち”を感じてもらう「すこやか視察ツアー」

9月7日の「前夜祭」では、メインイベントに先駆けて、12時から道外参加者を対象に「すこやか視察ツアー」を実施。北海道済生会の櫛引久丸常務理事のガイドのもと小樽市内を巡りました。このツアーはまちの特徴や地域課題などを肌で感じてもらうことが目的。参加者からは「小樽は高齢者が多い。生活地域には坂が多く、豪雪に見舞われた際には、病院受診や買い物に出かけることも苦労するという小樽の課題を知ることができました」との声が聞かれました。

小樽のまちの魅力を探すツアー
「坂のまち」の小樽。住宅街でも高低差がある

「未来共創ドラフト会議」で若者が未来のアイデアを発表

午後は病院マーケティングサミットJAPANとのコラボレーション企画「未来共創ドラフト会議」が行なわれました。未来共創ドラフト会議は、高校生などの若い世代が、自分のアイデアやプロジェクトを楽しくプレゼンテーションでアピールし、病院や企業経営者がドラフト指名。時には実際にタッグを組み、そのアイデアを形にしていきます。社会、地域実装の機会創出を推進していく企画です。

プレゼンの内容は36人の聴講者が地域未来創造の観点から審査し、7人の発表者の中から、島根県立隠岐高校3年・北野藍さんの「外来種カフェ~『食べる』を通じて、多様な生き物の共生を考える~」が見事1位に選ばれました。内容は、道内に生息する外来種のウシガエルをおいしく食べるフレンチレシピを、福島県の高校生などと一緒に開発したというもの。食を通じて外来種駆除への理解を求めました。

島根県立隠岐高校の北野藍さんが同校で取り組む外来種カフェをプレゼン
司会の病院マーケティングサミットJAPAN代表理事の竹田陽介氏

フェス当日は、7000人が来場!

8日は済生会ビレッジを中心にさまざまな企画が行なわれ、地域住民をはじめ多くの人々が参加しました。「みらい共生マルシェ」では老舗料亭が販売する冷凍やわらか和食(嚥下食)や、済生会就労支援事業所「ぷりもぱっそ」の野菜販売を実施。モルックやボッチャのスポーツ体験、済生会重症心身障がい児(者)施設みどりの里の利用者による「劇団みどり」の演劇ステージも披露されました。

飲食・物販などが行なわれたマルシェでは洋菓子を出店した調理学校の生徒もイベントを楽しんだ
モルック「ウエルネスカップ」で参加者が記念写真!

他にも高校生が地域の特産物やアクセサリーなどを仕入れ販売する「高校生百貨店」や、地域のボランティア団体が行なう「介護予防体操」などが催され、市内から来られた人々をはじめ、道内外から集まったたくさんの人が交流しました。

地元の魅力ある商品を発掘する「高校生百貨店」
介護・福祉ゾーンでは無理なくできる介護予防体操が実施された

メインステージでは、パラリンピックアルペンスキー金メダリストの狩野亮さんと、世界ろう者卓球選手権大会金メダリストの木村亜美さんが登壇し、トークショーを開催しました。ハンディキャップによる金メダルを獲得するまでの苦労や障がい者専用のスポーツ用品の特徴などを説明されました。

また、学生や地域の活動家、自治体職員などがそれぞれの考える「共生」や「ウエルネス」を発表し、来場者と一緒に未来を考える「共創カンファレンス」も実施されました。カンファレンスでは、前日のドラフト会議で1位指名の北野さんが多くの観客の前でプレゼンし、会場を盛り上げました。

これからも小樽をウエルネスなまちへ

大盛況に終わった「小樽くらしたい共生フェス2024」。現場を指揮した北海道済生会 ソーシャルインクルージョン推進室室長の清水雅成さんは今回のイベントを次のように振り返ります。

「今年の参加者数は約7000人と、去年の3倍以上の人に足を運んでいただきました。例年の同イベントは“健康フェア”の色合いが強く市民も健康に興味のある方が大半でした。今年のイベントは健康に加え、地元の中学・高校の吹奏楽部を招いたり、障害のある方も参加できるユニバーサルスポーツを実施したり、地域企業の出展ブースを用意し、高齢化が進むこの小樽でもまだまだ住んでいて楽しいこと、魅力的なことがたくさんあることを知っていただきたいという気持ちで企画しました。地域の方がこれからも小樽に“暮らしたい”、地域外の方が小樽で“暮らしたい”と思っていただけるようなイベントにできたのではないかと思います」

小樽市と協力しソーシャルインクルージョンなまちづくりを進める北海道済生会。今後も多世代が健康で快適に暮らせるまちを目指して、小樽のウエルネスタウンへの取り組みは続きます。

美ら海水族館と小樽水族館のコラボブースにて、3Dプリンターで印刷された海の生き物に色付けを子どもたち。
他にも地元の企業を中心に10台のキッチンカーが並ぶ「キッチンカーフェス」などの催しも

 

より詳しい活動の様子はこちら(YouTube「北海道済生会-小樽くらしたい共生フェス 20240927」)

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