【社会的入院】

しゃかいてきにゅういん

入院治療の必要性が低いにもかかわらず、在宅医療・介護サービスの不足や家庭の事情から、入院が継続されている状態のこと。病院が事実上の生活の場となることで、患者自身が地域社会で暮らす機会を失うだけでなく、医療費の増大や、治療を必要とする他の患者の病床確保が困難になるなど、医療資源の圧迫にもつながっています。この問題は、大きく分けて2つの社会的課題に起因しています。一つは、「高齢者」にかかわる課題です。2000年以前の日本では、高齢化と核家族化による在宅介護能力の低下や介護施設の不足、さらに入院費が介護施設の入所費よりも安価であることなどを理由に、高齢者の社会的入院が社会問題となっていました。その解決策として2000年に「介護保険法」が施行され、介護を家族だけに頼らず社会全体でケアする今日の「介護保険制度」が形作られました。また、昨今新たに注目されている考え方として「地域包括ケアシステム」があります。これは、医療・介護・住まい・生活支援を地域全体で連携して提供する仕組みで、病院が担わざるを得なかった「安心できる生活の場」を地域で確保することが期待されています。もう一つは、「精神障害者」にかかわる課題です。急性期を過ぎて退院可能な状態にあっても、受け入れる地域社会の支援体制や住環境、家族の受け入れ態勢の不足などから、長年にわたり多くの方が社会的入院を余儀なくされてきました。これに対して近年は、障害者が一人の生活者として自分らしい暮らしを営めるよう、グループホームなどの住まいの確保や相談支援体制を整えるなど、病院から地域へと生活の場を移す「地域移行」が推進されています。

 

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